浄化槽の基本情報

浄化槽の法定検査とは?費用や受けなかった場合どうなるのか解説

浄化槽の法定検査とは、浄化槽の設置状況や保守点検業者の点検内容が適正に行われているか確認する検査です。

法定検査を受けないと浄化槽の処理機能は低下し、汚水を処理できないまま側溝へ放流させてしまい悪臭の原因にもなります。

この記事では、浄化槽の法定検査について費用や受けない場合どうなるのかなどを解説します。

まだ浄化槽の法定検査を受けてない方は是非参考にしてください。

浄化槽の法定検査とは

浄化槽の法定検査とは、浄化槽が正常に機能しているかを第三者機関が定期的に確認する制度です。

浄化槽管理士
浄化槽管理士

都道府県が指定する検査機関が検査します!

主な作業としては、浄化槽に異常箇所はないか、浄化槽の保守点検業者が正しく点検を行っているかなどをチェックします。

法定検査を行うことで、 浄化槽の不具合、汚水処理機能の低下を防ぎ、悪臭やトラブルを事前に防ぐ事が可能です。

浄化槽の法定検査は義務

浄化槽法により、浄化槽の法定検査は義務付けられています。

浄化槽管理士
浄化槽管理士

浄化槽管理者は責任をもって受検しましょう!

浄化槽管理者とは

浄化槽管理者とは、浄化槽の所有者のことを指します。戸建ての場合、世帯主が浄化槽管理者となるのです。

浄化槽管理者は、毎年1回、都道府県知事が指定する指定検査機関の行う水質に関する検査を受けなければならない(浄化槽法第11条)

引用元:環境省

また、浄化槽管理者は法廷検査だけでなく保守点検や清掃も浄化槽法で義務付けられています。

浄化槽の保守点検については以下の記事を参考にしてみてください。

浄化槽の法定検査は2種類

浄化槽の法定検査には、以下の2種類があります。

  • 7条検査
  • 11条検査

2種類の法定検査は何が違うのか解説します。

7条検査

7条検査とは、新設後に浄化槽が適切に設置、運転しているかを確認する検査です。

浄化槽を使い始めてから一定期間内(3か月~5カ月以内)に必ず受ける必要があります。

7条検査では以下の項目を検査します。

検査項目内容
設置状況の確認図面や仕様書との照合をしたり、浄化槽の設置位置・形状・構造の確認
構造・機能の確認浄化槽内の構造の確認、ブロワ(送風機)などの電源・動作の確認
水質検査(処理性能)浄化槽内の水質(汚れ具合)をチェックします
運転状況の確認流入や流出口に問題が無いか、異常音や異臭がないか確認

浄化槽を使い始めたばかりでも、バクテリアの繁殖が不十分だったり、エアーが弱かったりします

7条検査を行うことで、浄化槽の設置状況や機能を確認して故障やトラブルを早期発見が可能です。

11条検査

11条検査とは、7条検査が終わった翌年から始まる

検査項目内容
書類・浄化槽管理状況の確認定期的な保守点検、清掃を行っているか書類を確認
水質検査放流水の水で汚れ具合を確認
槽内、槽外に異常が無いか確認破損、水位、ブロワなど槽内と槽外に異常が無いか確認
処理機能は正常か確認浄化槽の計画通り処理が正常に行われているか確認

浄化槽の法定検査と保守点検の違い

浄化槽の法定検査と保守点検では、目的や作業内容が全然違います。

浄化槽管理士
浄化槽管理士

同じ作業をしているわけではありません!

保守点検と法廷検査の違いを以下にまとめました。

保守点検法定検査
費用年間で1万~3万円7条検査:11,000円程度
11条検査:6,000円程度
(費用は人槽によって異なります)
目的浄化槽の汚水処理能力が正常に発揮できているか確認、点検、調整浄化槽点検業者の管理状況を確認
実施者民間の保守点検業者(管理士免許が必要)各都道府県等が指定した検査機関
作業頻度浄化槽の人槽によって異なる。(月1回~数回)7条検査:設置後に1回
11条検査:年に1回
費用負担浄化槽管理者が点検業者へ支払う浄化槽管理者が検査機関へ支払う
作業内容の違い水質の検査、異常がないか、空気調整、消毒の補充第三者目線で点検・保守が十分か確認
記録の扱い点検記録票は保管が義務付けられている法廷検査での結果は市役所へ報告

定期的に行う保守点検を行っていると、なぜ法廷検査も定期的に行わなければいけないのか疑問に思う方も多いでしょう。

点検をしている業者が正確な作業を行っているか検査することで、より正確に浄化槽の機能を維持できます。

浄化槽の法定検査を受けないとどうなるか

浄化槽の法定検査を受けないと以下のような問題が発生する可能性が高いです。

  • 罰則や過料を受ける
  • 生活環境の悪影響
  • 浄化槽の異常に気づけない

罰則や浄化槽の故障が発生しないためにも浄化槽の法定検査を受けることをおすすめします。

罰則や過料受ける

浄化槽の法定検査を受けない場合、行政指導や命令を受けて従わないと30万円以下の過料を科せられます。

浄化槽法で都道府県知事は法定検査を受けていない浄化槽管理者に対し、法定検査を受けるための指導、助言、勧告、命令が可能です。

命令されているのにも関わらず、無視や手続きを放置していると罰則や過料の対象になります。

罰則や過料を受けないためにも、浄化槽の保守点検はしっかり受検しましょう。

生活環境の悪影響

浄化槽の法定検査を受けないと汚水が十分に処理されず、悪臭が発生する可能性があります。

浄化槽は正しい方法で管理しないと汚水処理能力が低下し、汚水が十分に処理されずに側溝に流れていくので生活環境に悪影響を及ぼす原因です。

また、法定検査を受けていない自分の敷地内だけが悪臭するならいいですが、夏になると悪臭は強くなり近隣トラブルにもなりかねません。

浄化槽から排出される水が完全に処理されるためには法定検査の受検が必要です。

浄化槽の異常に気づけない

法定検査の定期検査で浄化槽の故障や劣化の発見が遅れてしまうと、仕切り割れや漏水などの原因にもなります。

早期の発見で防げるトラブルが、定期的に浄化槽の中を確認しないだけで大きな工事になってしまうのです。

例えば、ブロワが故障していて発見が遅れた場合、浄化槽にエアーが送れない期間が長くなり微生物は死滅し悪臭の原因になります。

浄化槽の法定検査を受けていれば、定期的に浄化槽の中を確認するので大きな故障やトラブルを防げます。

浄化槽の法定検査の申込方法

浄化槽の法定検査は家を建てる際、既に申し込みが済んでいる場合があります。

申し込みが住んでいる場合は、検査機関からの連絡を待てばいいのですが、まだの場合は自分で申し込みが必要です。

ここからは、浄化槽の法定検査の申込方法について解説します。

指定検査機関を確認

まずは、各都道府県の指定検査機関がどこなのかを確認します。

浄化槽の法定検査は都道府県知事が指定した検査機関が行うからです。

各住まいの指定検査機関が確認できたら法定検査を申し込みしましょう。

指定検査機関に法定検査を申し込む

指定検査機関に法定検査を申し込む方法は主に3つあります。

申込方法申し込み方法
電話指定検査機関へ直接電話をして申込します
郵送新しい家に住んでから半年くらいでハガキが届く地域もあります
Webインターネットから直接申込します

自分で申し込みをしないといけない場合や、何もしなくても自宅にハガキが届く場合もあります。

だいたい半年くらいが目安でハガキがくるので届かない場合は自分で申込を進めましょう。

検査の日程を決める

指定検査機関へ法定検査の申込が済んだら検査の日程を決めます。

日にちは指定検査機関ごとに決め方が違いますが、使用者が予約する場合が多いです。

まとめ

浄化槽の法定検査は、ご家庭に浄化槽がある方は必ず行わないといけない検査です。

本記事で解説したように、法廷検査を放置すれば浄化槽の故障や異臭などが発生します。

浄化槽の法廷検査は指定業者に申し込みをして定期的に検査を受けるようにしましょう。

  • この記事を書いた人

ひろと

現役の浄化槽管理士として、実際の現場のリアルやトラブルや対処法などを発信していきます。 浄化槽は正しい管理をしなければ、放流水の水質が悪化、悪臭の発生などを起こし生活環境を悪くしてしまいます。 こちらのサイトは『お水をキレイにするサイト』というテーマで発信を続けていきます。

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