浄化槽の基本情報

浄化槽のブロアとは?役割や止まるとどうなるか解説!

浄化槽のブロアは、トイレや台所から排出される汚水を綺麗な水に処理するためには必ず必要です。

浄化槽のブロアが止まると汚水は正しく処理されず悪臭の原因などにもなります。

この記事では、浄化槽ブロアの基礎知識について、主な役割や万が一止まってしまったらどうなるのかなどを解説します。

浄化槽のブロアが家に設置されている方で基礎知識を知っておきたい方は是非参考にしてください。

浄化槽のブロアとは

浄化槽のブロアとは、外にコンセントで繋いであるモーターの事です。

浄化槽管理士
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ブーンという音がなっているのが特徴!

浄化槽内には酸素が必要な微生物が生息しており、ブロアから常に酸素を送り続けます。

戸建て住宅を購入した場合、最初からブロアは設置されており準備しておく必要はありません。

浄化槽のブロアが故障してしまうと汚水の処理機能が落ちて悪臭の原因にもなるので、専門業者による定期的なメンテナンスが必要です。

浄化槽ブロアの役割

浄化槽ブロアはの役割は、浄化槽内へ酸素を送り続けます。

浄化槽管理士
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ブロアが無ければ汚水をキレイにできないよ!

主な役割は以下の通りです。

  • 浄化槽内へ酸素を送る
  • 浄化槽内の水を攪拌させる
  • 臭いを防ぐ
  • 処理機能を維持する

浄化槽にはブロアが無ければ家の中から排出される汚水がキレイなお水になりません。

ここからは、浄化槽ブロアの役割について詳しく解説します。

槽内へ酸素を送る

浄化槽ブロアは、浄化槽内へ常に酸素を送り続けます。

浄化槽の中には好気性微生物がいて、酸素がなければ死滅してしまうからです。

浄化槽管理士
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好気性微生物が汚水を綺麗にしてくれる!

好気性微生物

酸素を必要とする微生物です。汚水中の有機物を分解してくれます。

浄化槽内は常に酸素がある状態を継続させなければいけないので、ブロアの定期的メンテナンスは欠かせません。

槽内の水を攪拌させる

浄化槽の中に空気を送り、槽内の水を攪拌させます。

浄化槽内の攪拌

空気を浄化槽の中で混ぜて汚泥の沈殿や酸素不足を解消させます。

浄化槽内の汚れや微生物を均等に行き渡るようにするためです。

攪拌が不十分の場合、汚れが沈殿して汚泥が底で固まってしまいます。

浄化槽内の汚れを微生物が均等に綺麗にするためには、槽内の水を攪拌させることが重要です。

臭いを防ぐ

浄化槽の中にブロアが常に酸素を送り込むことで、浄化槽内環境が良好になり臭いを防いでくれます。

酸素を好む微生物が有機物を分解してくれて綺麗なお水に変えてくれるからです。

有機物とは

トイレや台所から流れてくる汚れのことで、微生物のエサとなる物質のことです。

浄化槽内に酸素がない場合、硫化水素や汚泥が腐敗して腐った卵のような臭いが発生してしまいます。

浄化槽から悪臭を発生させないためにも、ブロアは常に動いている状態を維持させなければいけません。

処理機能を維持する

浄化槽はブロアが正常に動いていれば本来の処理機能を維持することができます。

ブロアが止まり、処理機能が低下してしまうのは浄化槽内に必要な酸素を供給できなくなり、水質の悪化や汚泥が蓄積してしまうからです。

汚れがたまるだけでなく、有機物を分解してくれる微生物は死滅し水質は悪化し悪臭が発生します。

ブロアは浄化槽の心臓部になるので、止まっている場合はすぐに新品に交換するか修理が必要です。

浄化槽ブロアの寿命

浄化槽ブロアの寿命は、一般的に5年から10年程度とされています。

浄化槽ブロアの交換周期

浄化槽ブロアの交換周期は10年とされています。

参照元:環境省

浄化槽のブロアは24時間365日ずっと動き続けているので永遠に使い続けることは難しいです。

浄化槽管理士
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ただ、15年以上動いているブロアも実際に見た事があります!

ブロアも機械なのでいつ頃壊れるか予測ができません。

定期的なメンテナンスを行うことでブロアの異常にすぐ気づくことが大切です。

浄化槽ブロアの寿命のサイン

浄化槽ブロアが止まりそうな時には寿命のサインがあります。

  • ブロアの音が大きくなる
  • 槽内へ送る空気量が少なくなる
  • 空気が一切出なくなる

音などの変化は自分で気づくことは出来ますが、空気量に関しては専門業者が槽内を確認しないと判断できません。

浄化槽のブロアが完全に止まってしまう前に交換することで悪臭などの発生を防げるので寿命のサインに気づくことが大切です。

浄化槽ブロアが止まるとどうなるか

浄化槽のブロアが止まってしまうと汚水処理機能が低下し様々なトラブルが発生してしまいます。

  • 悪臭が発生する
  • 流入口が詰まる
  • 清掃が必要になる

ブロアが止まっているのをすぐに気づくことができれば、そこまで問題になりません。

止まってしまっているのに長期間放置しておくと浄化槽内の状況はひどくなるので早期発見が重要です。

ここからは浄化槽のブロアが止まってしまったらどのような問題が発生するか解説します。

悪臭が発生する

浄化槽のブロアが止まってしまうと浄化槽内から悪臭が発生します。

微生物が死滅して有機物の分解が不十分になるからです。

主な悪臭物質を以下にまとめました。

悪臭物質臭いの特徴
硫化水素腐った卵のような臭い。人体にも影響が出る
アンモニアツンとした刺激臭。
メタン無臭ですが可燃性ガス。スカムや汚泥のガス膨張で泡立ちや浮き上がりを起こす
揮発性有機酸酸っぱいような臭い

浄化槽には蓋があるので臭いは外に出にくいですが、ブロアが止まって汚れが酷いと浄化槽の外にも臭いは出てしまいます。

浄化槽管理士
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悪臭の原因を調べたらブロアが止まっているケースは実際に多いです。

悪臭が発生しないためにも、少しでもブロアの異変に気づいたら業者へ確認し新品へ取り替えましょう。

流入口が詰まる

ブロアが止まると汚泥やスカムが溜まりすぎてしまい、流入口や配管の詰まりの原因になります。

スカムが流入口に溜まって水が通らなくなってしまうからです。

スカムとは

油脂、食べかす、トイレットペーパーの繊維、毛髪などが分解されなかった物が集まって浮いている物体のこと

詰まりが発生するとブロアを新品に変えるだけでは解決できず、清掃が必要になります。

ブロアの新品代と清掃代が一気に発生してしまうので詰まらないように対策することが重要です。

清掃が必要になる

ブロアが止まって長期間経過している場合、浄化槽の清掃が必要になります。

微生物が死滅してしまい、浄化槽内の汚泥は分解されず蓄積されて汚れが溜まっているからです。

ブロアが止まって長期間経過しているのに清掃を行わない場合、硫化水素やアンモニア臭が強烈に発生します。

また、清掃を行わずブロアだけ新品に変えると沈殿した汚泥が一気に撹拌されて臭いが出るので交換する前に必ず清掃が必要です。

まとめ

浄化槽のブロアは家庭内から排出される汚水を綺麗なお水にする為には必ず必要です。

本記事で解説したように、ブロアは微生物が槽内で生きていくために必要だったり汚泥を撹拌させて沈殿させなかったりと浄化槽の心臓部になります。

止まってしまうと汚泥は処理されず悪臭の原因にもなるので異変に気づいたらすぐに新品へ交換しましょう。

  • この記事を書いた人

ひろと

現役の浄化槽管理士として、実際の現場のリアルやトラブルや対処法などを発信していきます。 浄化槽は正しい管理をしなければ、放流水の水質が悪化、悪臭の発生などを起こし生活環境を悪くしてしまいます。 こちらのサイトは『お水をキレイにするサイト』というテーマで発信を続けていきます。

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